歴史ある伝統を基礎とした未来教育
二松學舍大学附属柏中学校は手賀沼や筑波山の見える自然に囲まれた共学校です。
柏駅から無料のスクールバスが出ており、15分ほどで到着します。学校ホームページによるとこのスクールバスは、柏駅の他、新柏駅、我孫子駅、北総線ルートを経由して走るそうです。
二松學舍では「論語」に基づいた教育を139年にわたり伝統として受け継いでいます。しかし、この伝統を守りつつも21世紀を意識した未来を見据えた教育がされています。
未来を切り開くための「学力」と「人間力」を身に着け向上させることを教育のビジョンとして定め、グローバル化が進む現代社会において信頼され、社会に貢献でき、また多様な価値観を共有し、自らの考えを持って行動できる人物の育成が目指されています。
そのためにも他の国のみならず自分の国の文化においても文化や歴史を正しく理解できる力をつけるよう工夫されています。これからの時代に理想とされるグローバルな人材の育成にあたり、「自問自答」を根底に「思考力」「判断力」「表現力」「コミュニケーション力」を身につけられるよう指導されています。
コースはグローバルコース、特選コース、選抜コースがあり、それぞれ各学年10名から20名程の少人数教育が行われています。また系列校に二松學舍大学附属柏高等学校があります。
入学試験は5回のチャンス
選抜コースは第一志望入学試験と、第1回、第3回、第5回の一般入学試験によって入学者が決まります。
第一志望入学試験
第一志望入学試験は算数の基本問題に関する学力試験に加えて、作文、自己アピール、面接の表現力検査が行われます。
通常、出願は11月中旬以降、試験は12月頭に行われます。
一般入試第一回・第三回
選抜コースのための一般試験では国語と算数の2教科試験、もしくは理科、社会を加えた4教科試験を選ぶことができます。全教科基本問題レベルの問題が出題されるようです。
出願は12月から始まり、試験は1月に行われます。
一般入試第五回
第5回の一般入学試験は選抜コース専用の試験ではなく全コースが対象の試験です。試験内容は算数の学力試験と、作文、自己アピール、面接の表現力試験が行われます。
一般入試第二回・第四回
第2回一般入学試験は国語と算数の2教科試験か理科と社会を加えた4教科試験の選択です。
第4回一般入学試験は国語と算数の2教科、もしくは理科と社会を加えた4教科試験の思考力検査型の試験が行われます。
※特選コースとグローバルコースの入試は同日に行われ、第2回、第4回そして選抜コース同様第5回一般入学試験が対象になります。
■受験料
受験料は第一志望試験が10000円、その他は20000円ですが、同時出願の場合は20000円で第1回から第4回までの試験をすべて受験することができます。
また、第4回までの試験を1回でも受けている場合は、第5回試験の受験料は10000円になります。
部活動と学習の両立は社会で活躍するための礎
ほとんどのクラブは活動曜日を指定して活動しています。
運動部では野球部、サッカー部、テニス部、バスケットボール部、卓球部、剣道部、陸上部、カヌー同好会があります。
文化部としては書道部、吹奏楽部、ESS部、文芸同好会、科学同好会、華道同好会、合唱部、茶道部、コンピュータ部、写真部があります。
各部の生徒の在籍数は、学校全体の生徒数が少ないという事もあり、全体的に少なめですが、
附属高等学校の生徒達と一緒に活動している部も多く、部活動を通して縦のつながりから学べることもあります。
学校ホームページによると、英語に関する活動を行うESS部では顧問にネイティヴの先生がついたり、華道同好会では草月流の先生からレッスンを受けたりなど、専門的な指導を取り入れている部もあるようです。
学校の方針としては、「学習と部活動の両立が社会で活躍するための礎となる」と部活動をとらえているようです。
国公立、難関私立大学への合格者も輩出
中学校の生徒は基本的に系列の二松學舍大学附属柏高等学校へ進学します。その後、大学受験となるわけですが、ここ数年では東京大学をはじめとする国公立大学、早慶、GMARCHなどの私立大学と、多くの大学に合格実績を残しています。
学校ホームページに公開されている平成29年度の合格実績には、国公立に
の名前が挙がっています。
更にロンドンのキングス・カレッジ・ロンドンへ進学した人もいたようです。
もちろん、系列である二松學舍大学も合格実績として名を連ねています。系列校である事もあり、やはり二松學舍大学の合格者が一番多いようです。また平成28年度には東京大学への合格者も輩出しています。
初年度にかかる費用は約111万円
年間の授業料は34万8000円ですが、ここに施設維持費15万円、生徒会会費、修学旅行積立金などのその他の費用として34万8000円が加算され、年間の学費は84万6000円かかります。
また、入学手続きのために、入学金20万円と、生徒会入会費や父母会入会費などで6万4400円の計26万4400円が加算されるため、初年度費用は111万400円となります。
工夫された生涯的学習
二松學舍大学附属柏中学校は「ノーチャイム」を取り入れています。これは生徒自身が主体的に行動できるようになるためです。
また、毎朝25分間、数学、英語、もしくは論語のモーニングレッスンを行っています。学校ホームページによると、数学は問題演習と小テストを実施、英語はスピーキングとリスニングを実施します。
そして、学校の校訓の基礎にもなっている「論語」は、素読の練習を行い、学年ごとに段階を踏み、少しずつ意味を理解し、まずは文言を身体に覚えさせます。
初めのうちはただ暗唱するだけで本質の意味を理解していなかったとしても、その言葉が自分のものとなり、意味を自然と理解できた時が自らの成長を実感できる瞬間だと学校は定めています。
また、「自問自答プログラム」というアクティブラーニングとして、様々な体験プログラムを学校行事の一環として実施しています。
学校の近くの手賀沼に関して、大学の先生の講義や施設見学から始まり、ポスターセッションやプレゼンテーションを行う「沼の教室」や、田植え、稲刈りの体験を行う「田んぼの教室」、東京の歴史や文化を科学技術館や国立博物館などの訪問を含め、自分たちの足で歩いて見聞し、政治や環境を考える「都市の教室」、そして2年次の修学旅行でもある、奈良と京都への訪問を行う「古都の教室」、更には3年次の修学旅行としてシンガポール、マレーシアにおける現地校との交流や、平和学習、環境学習などの「世界の教室」が行われます。また、1年次には「雪の教室」と題されたスキー教室が行われます。
これらの学習を通して3年次に集大成として探求論文「自問自答」を作成します。
そして、普段の学習では生徒だけでなく教員も含め全員が学習システム入りのタブレットを持ち、学習に活用するというICT教育が行われています。
教室にはプロジェクターが完備され、電子教科書などのデジタルコンテンツを多く使用することにより理解度を深めます。
建学の理念が直に生徒に働きかける教育
この中学校の教育の特徴は、建学理念、教育方針が学校ホームページなどに紹介される文字の上のみならず、生徒に直接働きかけるよう教育プログラムが組まれているという事です。
建学の精神である「論語」をモーニングレッスンとして学ぶことで、学校が理想とする人間としての中身を創り上げられるだけでなく、漢文の知識としても蓄積されます。
合唱祭での群読などの発表の機会や生徒達全員に漢文検定試験の受験が科されることで成功体験も得ることができます。
基本的には入学した各コースで6年間の一貫教育を受けますが、入学後の成績などによってはコース変更も認められているという、各生徒に柔軟に対応でき、生徒一人一人を伸ばす工夫がされている学校です。
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