「心の力」を鍛える教育
麗澤中学校は幼稚園から大学までが併設されるほどの広い敷地内にある共学の中学校です。その広さは東京ドーム約10個分と言われ、学園の周りには大きな森があります。
併設校は麗澤幼稚園、麗澤高等学校、麗澤大学で、小学校だけ設置されていません。
昭和10年に法学博士の廣池千九郎が塾長となり、自身が創建したモラロジー(道徳科学)を基盤とした道徳科学専攻塾を立ち上げ、それが学園の前身です。
中学校は、2002年に設立されました。廣池が提唱した「知徳一体の教育」を基本理念に掲げ、仁愛の精神と共に技術や知識の修得により社会の発展に貢献できる人材の育成を目指します。
設置されているコースは東京大学などを目指すアドバンスト叡智(AE)コースそして難関大学への合格を目指すエッセンシャル叡智(EE)コースがあります。
それぞれ、英語力や言語技術をのばすだけでなく、「心の力」を鍛えることを最も重要視しています。
学校ホームページによると、言語技術の授業では「問答ゲーム」という質問に対する答えを根拠をもって答えるというゲームが行われています。
段階的にコミュニケーションの基本を身に着け、最終的に小論文で論じられるような記述の修得を目指します。
また、併設校の麗澤高等学校との連携で6年間の中高一貫教育による大学受験を見据えた教育だけでなく、囲碁や歌舞伎などを取り入れた工夫された授業が展開されています。
入学試験は一般入試のみ
麗澤中学校の入試は一般入試のみになります。
全部で3回行われる入試を通して、AEコースに30名、EEコースに110名が選抜されます。入試は1月から2月頭にかけて行われます。
まず第1回一般入試と第2回一般入試では国語と算数に加えて、理科と社会の2科目、もしくは英語を選択して学力試験を行います。それぞれAEコースへの出願者は国語と算数の点数を1.2倍にするという傾斜配点方式が適用されます。
第3回入試では国語と算数の基礎力に関する試験と、グループワークと記述を行う「『叡智』表現力テスト」が行われます。
受験料は基本的には2万2000円ですが、2回以上試験を受ける場合は2回目の試験から1回につき1万1000円になります。
倍率は大抵第1回一般入試が一番高く、2018年度を例に出すとAEコースで4.0倍、EEコースは2.6倍でした。
回を重ねるごとに倍率は下がりますが、それでも2倍以上をキープしています。
合格最低ラインは、2018年度の第1回一般入試でAEコースは340満点中203点、EEコースは300点中159点と、
どちらも合格するには高い得点率が求められます。
合格最低点は倍率と逆で、回を重ねるごとに上がっていく傾向にあるので、どの回の入試もそれぞれがそれなりに難しさを持っています。
中高合同で活動する空手道部、ゴルフ部は全国レベルの強豪
部活は運動部、文化部共にさかんですが、特に運動部の空手道部、ゴルフ部はここ3年間の間に全国大会への出場経験があります。
その他運動部は、剣道部、硬式テニス部、サッカー部、軟式野球部、バスケットボール部、ラグビー部、バレーボール部が活動しています。
軟式野球部では、日本国内の試合への出場だけでなく、オーストラリアやアメリカの代表チームと国際試合も行っています。
部活によって、中高合同で活動する部と、中学と高校で別々に活動する部と様々あります。
文化部は吹奏楽部、囲碁部、科学部、日本文化部、美術部、百人一首研究会、和太鼓部、文芸部が活動しています。日本文化部は中高合同で活動していて、茶道と邦楽(お琴)の稽古をします。
その他囲碁部、科学部、美術部、百人一首研究部、和太鼓研究会、文芸研究会が中高合同で活動しています。
運動部をふくめ、どの部活も基本的には木曜日はお休みです。
毎年難関大学へも合格者を輩出
中高一貫教育のため、中学校から高校への進学はほぼ100%が麗澤高等学校へ進学するようです。よって、学校として公開している進学実績は大学の合格実績になります。
先取り学習のみならず、次の授業の予習を宿題に出し、その復習として授業を行う反転学習など、工夫された学習サポートによって、毎年のように国公立大学や難関私立大学への合格者を輩出しています。
例えば、国公立大学では、筑波大学、東京外語大学、お茶の水女子大学などに毎年合格者を出しています。
また、近年の実績として、京都大学、北海道大学、東京学芸大学、東京医科歯科大学、東京農工大学、神戸大学などが挙げられています。
私立大学では、早慶、GMARCHは勿論のこと、東京女子大学、日本女子大学、芝浦工業大学、東京理科大学、立命館大学などに合格しています。
併設校の麗澤大学への合格実績もありますが、人数の割合を見ると、ほとんどの生徒が外部の大学の受験をしているようです。
更に、文科省管轄外の大学校への合格もあり、防衛大学、防衛医科大学が挙げられています。
入学時の成績優秀者には奨学金
入学手続き時に納入する費用は、
入学金の30万円のみです。
年間の納入金は、
授業料が約35万円、施設費が約20万円、教育充実費として6万円、そして生徒会、保護者会、同窓会などの各種入会費や会費が約5万円かかります。
この他、
体操服などを含む制服代として約8万円、教材費に約7万円、研修旅行の積立金として月額1万8000円の徴収があります。
また、昼食は給食制のため、食費として約13万円かかります。
注意しなければならないのは、学校ホームページにも記載はありますが、麗澤高等学校進学時に改めて入学金が30万円かかるということです。
しかし、麗澤中学校では創立者の廣池千九郎の名前をとった「廣池学事振興基金」という特別奨学生制度があります。入試で特に優秀な成績を納め、心身ともに健康である入学生を対象とした奨学金制度です。
支給額は3段階あり、50万円の支給に加え、初年度のみプラスで20万円支給される第1種、30万円支給される第2種、そして初年度のみ20万円支給される第3種があります。
第3種以外は原則として3年間の支給ですが、毎年資格審査が行われます。
また、一般支給奨学生の制度として、経済的理由などで学業の継続が困難になった生徒を対象とする給費制度も用意されています。
5つのLを意識した教育
AEコースでは、前述した反転授業の他、年2回の勉強合宿、希望者を対象に東京大学のオープンキャンパスへ学校団体として参加、難関大学直結のバイパス講座を放課後に実施など、大学合格にむけて多様な学習プログラムが組まれています。
学園が提唱する、「5つのL」と呼ばれる力、すなわち、
Language(英語力)
Liberal Arts(教養)
Logical Thinking(論理的思考力)
Literacy(情報活用力)
Leadership(リーダーシップ)
を兼ね備えた人材の育成のため、AEコースにはLアワーというオリジナルカリキュラムが週1回設けられています。
学校ホームページに公開されている情報では、集中力を高め、論理的思考力を要請するために囲碁を授業に取り入れたり、3年次のイギリス研修において歌舞伎の「勧進帳」を英語で演じたりなど、多角的なプログラムが組まれています。
EEコースでは、毎朝10分間、主要教科の確認テストや、新聞ワーク、文章トレーニングが行われます。
普段の授業ではICT教材やアクティブラーニングなどの補助教材を積極的に取り入れ、丁寧なサポート体制が整っています。
学校行事では体育祭、文化祭の他、2年次の関西研修旅行、前述した3年次のイギリス旅行、そして百人一首大会や英語スキットコンテストなどが行われます。
「実践できる心」を養う
麗澤中学校は道徳教育を基盤とした教育目標をもっています。それは「感謝の心」「自立の心」「思いやりの心」を育てる教育です。
ただ文字や考え方として学ぶだけではなくそれを「実践できる心」を目指しています。
通常の学習サポートは勿論のこと、校内外の課外授業も充実していて、総合的な力が養われる学校です。
その結果として、大学への高い合格率だけでなく、部活動での活躍などの文武両道精神が培われています。
じゅくみ〜る編集部のお役立ち情報課です。
学校情報や勉強法などの受験や学習に役に立つ情報を発信します。