大学付属校でありながら進学校
東邦大学付属東邦中学校は、千葉県習志野市にある共学の私立中学校です。
東邦大学の大学付属校で、併設/系列校に東邦大学の他、東邦大学付属東邦高等学校、駒場東邦中学高等学校があります。
設立は1961年と歴史は古く、「自然・生命・人間の尊重」を建学理念として、「自然を畏敬し、生命と尊び、人間としての心の向上を目指す」という教育理念が掲げられています。
学校ホームページの学校長の言葉によると、「『感性』で捉えたものを『理性』に高めて理解できた時、学ぶ喜びに出会え」、その「『プロセス』重視の学習」がこの学校の教育の特徴です。
この教育目標は中学だけでなく系列の高校まで一貫して掲げられている目標で、その中で生徒達が能動的に、ともに高めあい、のびのびと可能性の自己開発に挑戦できるよう期待されています。
中学校卒業後、系列の付属高等学校へ進むことを念頭に、高校2年生終了時までの全学習範囲を網羅するという中高一貫型の「早期完習体制」を実施し、進学校としての地位も確立しています。
男女の生徒数は、男子生徒の割合の方が女子生徒よりも若干多めです。
狙い目は前期試験
東邦大学付属東邦中学校への入学試験は、推薦入学試験、前期入学試験、後期入学試験の3通りの試験方法によって行われます。
■推薦入試
推薦入試は、自己推薦書が必要になります。また、合格した場合には必ず入学するという条件が付いています。
推薦試験で行われる入試は、自己推薦書の内容の他、国語、算数、理科、社会の学力試験も科されます。
推薦入試合格者の中から1名の特待生候補者が選抜されます。
■前期試験と後期試験
前期試験と後期試験は国語、算数、理科、社会の学力試験で合否判定が行われます。
前期試験と後期試験で違うのは、募集人数の他、理科と社会の試験所要時間です。
前期試験は算数、国語と同様それぞれ45分間の試験ですが、後期試験の理科と社会は各30分の試験になります。
また、前期試験の募集人数は男女合わせて250名ですが、後期試験は男女合わせて20名とかなり少なくなります。
入学者の比重は前期試験の合格者にあるようです。
■倍率
倍率は2017年度を例にとると、前期試験が2.1倍に対して、後期試験は約17.4倍にもなります。
また、推薦入試の倍率は20倍越えで、その人気度並びに難関度が伺えます。それぞれの試験の募集人数には帰国生も含まれますが、帰国生枠での合格者枠は定められていません。
帰国生枠で出願しても、選抜方法は一般受験生と同様ですが、出願時に帰国生扱いとして希望を出す必要があります。
また、条件として、海外での就学期間が2年以上、もしくは1年以上で海外の学校にまだ在籍しているか、国内の小学校に在籍して帰国後3年以内である事が挙げられています。
運動部は全国大会出場レベル
部活動は特に運動部の活躍が目立ちます。特に、水泳部、ハンドボール部、スキー部は過去3年間に全国大会への出場経験を持つ強豪です。
その他、陸上部、バスケットボール部、サッカー部、バレーボール部、卓球部、剣道部、硬式テニス部が活動しています。
バレーボール部は特に女子が強く、女子バレーボール部は地区大会で毎年入賞を果たしています。
文化部には演劇部、英語部、文芸部、オーケストラ部、科学部、地形模型部、美術陶芸部があります。
科学部は、パソコンを使ったプログラミングによるゲーム制作や、電子工作などを行うエレクトロニクス班と、テーマを見つけて実験による研究を行ったり、文化祭で公開実験発表を行う化学班に分かれています。
また、地形模型部は、小さな島の模型から始めて、少しずつより大きく複雑な地形の模型化ができることを目標に活動しています。他の学校には中々見られない、特徴的な部活です。
ほぼ全員が系列の東邦高等学校へ
東邦中学校の生徒はほぼ全員が東邦高等学校へ進学します。よって中学、高校と6年間の一貫教育が可能となり、東邦高校の進学実績につながっています。
特に学校ホームページによると、2017年度からは高校からの入学者の募集が停止され、更に中高一貫教育に加速がかかっています。
進学先は、東大、京大を含む国公立大学、早慶、GMARCHなど難関私立大学への進学者も少なくありません。
国公立では、東京大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学、お茶の水女子大学、東京外語大学などに合格しています。
早慶、GMARCH以外の私立大学には芝浦工業大学、国際基督教大学、日本大学などにも合格しています。
更に、理系を目指す生徒が全体の約7割と、理数系にも強く、私立の医学部、歯学部、獣医学部の現役合格者を毎年60名から100名近くを出しています。系列の東邦大学の医学部には学校推薦枠が設けられています。
東邦大学のその他の学部にも理学部、薬学部、健康科学部と合格者は若干名いますが、学校ホームページに公開されている合格者数などの情報からは多くの生徒が外の大学へ進学しているようです。
初年度の学費は100万弱
東邦中学校の年学費は、授業料、施設維持費、副教材費、生徒会費、PTA関連費などを含め、約64万円ほどです。
初年度は入学金などが加算されるので、制服代金別で約105万円かかります。
初年度の内訳は、入学金が34万円、授業料が37万2000円、施設費が14万4000円、修学旅行積立金、生徒会費、副教材費などが19万9100円です。
入学金を除く年間の納入金は基本的に4期に分けて納入します。5月、7月、10月、1月の4期に分けて、3か月分ずつ納入します。
プロセスを重視した先取り学習
東邦中学校のカリキュラムは、東邦高校2年次に全カリキュラムを終えるための中高一貫型のカリキュラムが組まれています。
先取り学習ではありますが、その途中過程ではしっかりフォローされ、プロセス重視の計画がされています。
週6日制で、土曜日も通常授業に時間を割き、主要5教科の比重を大きくすることで早期完習学習が可能になります。
各教科のフォローもしっかり行われ、例えば数学では希望者対象ではありますが、毎日1枚ずつ問題を解いていくという「数学トレーニングマラソン」、社会の夏休みの課題研究によって現代社会を自発的により深く知れる機会の提供、自分探しにもつながる国語科主体の「読書マラソン」などが行われています。
さらに東邦中学校の「総合的な学習の時間」は「自分探し学習の時間」とされ、校外学習や修学旅行に関するテーマ学習や、用意された複数の講座から自分が興味のある講座を選択できるという選択制の授業が行われています。
また、東邦高校の生徒が中心ではありますが、「学問体験講座」というのが開講されており、中高大連携授業として大学の講師による様々な分野の大学の授業の体験が行われます。
また、夏休みには講習や補習、海外研修なども行われます。
また、2月の職業講話や、Recitation Contest(英語のスピーチコンテスト)は特徴的な学校行事です。
文武両道にいそしむ生徒達
大学付属校でありながら、高校までの効率的な一貫教育により進学率を高め、進学校としても認められる東邦中学校は、勉強だけでなく、部活動の実績も評価されている文武両道の学校です。
日々の学業に追われながらも部活動に参加している生徒は中学校では8割強と、生徒達は皆自主性と積極性を持っていて、更にそれを伸ばしています。
学習カリキュラムの特徴として「自分探し学習」を掲げ、大学受験のために必要な全カリキュラムを早期に仕上げる上に、職業選択や大学での学部選択に役立つ体験や講話などといったフォローも入り、中学高校6年間を通してしっかり自分と向き合える環境が整っている学校です。
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