中学に入ったらすぐに高校入試を意識すべき!
中学に入学すると、行動範囲と交友関係が拡がるため、ついつい勉強以外の事に夢中になったり、部活動が楽しくて、肝心の勉強がおろそかになりがち。
こうした交友や経験は、心身ともに急激に成長するこの時期にはとても大切な事ですが、1年生のうちから高校入試の事を意識しておかないと、後々大変な事になりかねません。
特に高校入試準備は、部活引退後から、ないしは夏休みから始めれば大丈夫!と考える人が多いですが、「ゆとり教育」時代は2,940時間だった中学3年間の授業時間が、「脱ゆとり」の今は3,045時間。
なんと105時間も増えており、さらに主要5教科(国・算・英・理・社)は123%増!夏頃から一気にスタートしても、3年生の授業をこなすだけで精一杯になり、受験勉強に手が回らなくなる可能性もあります。
さらに高校受験では、「学力試験」のほかに、俗に内申書と言われる「調査書」が、合否判断の重要な資料となります。「調査書」には、中学3年間の学習記録や特別活動の記録など、生活の様子が記録されます。
特に、いわゆる「内申点」と言われる各学科の学習記録は、1~3年各学期の評定で判断され、1~2年生の内申点が芳しくなかった場合、3年生になってからいきなりがんばっても、努力が報われない結果になってしまいます。
そのためにも、1年生のうちから、自分がどこに入りたいかの志望校を意識することや、各学年の各学期で、どのくらいの成績を残すのかなどといった「目標」を設定することがとても重要です。
3年生になってから慌てないように、高校受験に向けて逆算した中学3年間のおおまかなスケジュールを把握しておき、それぞれの時期に何をすべきかを決める事はぜひやっておきたいもの。
下記にその流れと、入試当日の注意事項もまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
■高校入試までの中学3年間の生活と準備
中学1年生~中学2年生 | ●志望校のピックアップと情報収集
●志望校に受かるための各学年、各学期の到達目標設定 ●目標達成のために、必要であれば塾や家庭教師等で補う |
中学3年生 | ●本格的な入試準備のスタート |
■高校入試に向けた中学3年生のスケジュール
1学期 | 4~6月 | 志望校の選定と情報収集 | 志望校、気になる学校のリストアップ。現状の、入学するための偏差値、内申点などの条件を、学校HPや書籍等で情報収集。自分の意志や方向性の整理 |
中間テスト・期末テスト | 現時点での自分の学力判断、志望校合格ラインとの乖離状況の把握及び、その後の目標設定 | ||
6~7月 | 各種模試などで実力診断 | この時期から、各種模試などを積極的に受けて、現状の学力を分析⇒今後の対策を立てる材料とします | |
夏休み | 戦闘モードスタート~志望校の絞り込み | 夏休みは「受験の天王山」と言われるほど、大切な時期で、3年間の学習を基礎から復習できる最後のチャンス。現状の学力を把握した上で、必要であれば、塾の短期講習等も積極的に活用しましょう。この時期の平均的な勉強時間は、塾・家庭教師以外で、1日5~6時間くらいと言われています。毎日を無駄に過ごさないように、事前にしっかりと計画を立てる事が大切です | |
2学期 | 9~10月 | 中間テスト | 受験までこの中間テストも含めて、あと残り2回しか無いテストなので、この段階で、内申点が合格圏内になるようがんばりたい時期です |
10~11月 | 志望校の文化祭・体育祭の見学 | 多くの高校がこの時期に学校祭を行うので、校風など知るためにもぜひ訪問してみましょう。先輩達の生活も垣間見えて、モチベーションアップにもつながります | |
担当教師との二者面談 | 中間テストの結果を元に、現状の成績と志望校合格ラインとのすり合わせ。今後の対策づくりもふまえて、そろそろ志望校の最終絞り込みに入る時期です | ||
11月 | 学校説明会/入試要項が出そろう | ほぼすべての学校で説明会が行われますので、積極的に参加しましょう。また、入試要項も早めに取り寄せておくのがベター。私立高校を志望する場合は、受験機会を増やすために、推薦入試の出願も、この時期に検討しておきます | |
12月 | 2期末テスト | 内申点アップの最後のチャンス。このテストで中学側が志望高校に提出する書類が決定します | |
担当教師との三者面談~受験校最終決定 | 本人・保護者・担任の先生で、受験校の最終決定に向けて話し合いをします。この時にはすでに内申点は確定していますので、自分の現状と照らし合わせて、三者で良く話し合って納得のいく結果を導き出しましょう。さらに、私立高校の推薦の合格可能性等も、この段階で話しておきます | ||
出願準備 | 入学願書を取り寄せて、必要書類等を準備します | ||
冬休み | 最後の追い込み | 受験前にまとまった勉強ができる最後のチャンス。不得意分野の克服などに注力しましょう。日数も短いため、より効率よく勉強がはかどるように、綿密なスケジュールを立てましょう。また、塾などで直前講習なども行われますので、苦手分野のみ受けるなども考えてみましょう | |
3学期 | 1~2月 | 出願手続き~自分の入試スケジュールを組む | ●受験料を振込んで、振込控えを願書に貼るなどをして、受付期間内に提出します。郵送ではなく窓口持参が確実です
●面接では願書を元に質問されますので、「志望理由」等はしっかり書いて、さらに控えを残すようにしておき、聞かれても答えられるようにしておきましょう ●また、私立及び公立の推薦入学と一般入学では入試日程が異なり、さらに公立では前期・後期を行うのが通常であることから、自分の入試日がかぶることのないように、しっかりとスケジュールを組みましょう さらに、私立・公立共に2次募集をするところもありますので、綿密にチェックをしておきましょう <おおよその願書受付・入試日の目安> 私立/推薦:1月下旬~願書提出、2月初旬~入学試験 私立/一般:2月中旬~願書提出、入学試験 公立/推薦:1月下旬~願書提出、2月初旬~入学試験 公立/一般:2月中旬~願書提出、入学試験 ※上記はあくまでも目安です。各都道府県、各学校により、実施時期は異なりますので、しっかり調べましょう。 |
高校入試 | いよいよ受験です。今までの成果をしっかり出せるよう頑張りましょう。前日・当日の注意事項等は、下記にまとめましたのでご確認ください。 | ||
合格発表~入学者説明会 | 合格発表が行われ、入学者に対しては、入学後の日程等の説明会が行われます。 |
受験前と当日の注意点
ここでは、受験の直前と当日の心構えや持ち物、注意点等を紹介します。ここまで準備してきたことをすべて出し切れるように、事前に確認をしておくようにしましょう。
■受験前日までに
①宿泊先や交通チケット等が必要な場合は早めに予約
受験会場が遠方で、宿泊をしなくてはならない場合等は、宿・交通手段のチケット等の予約を早めにしておきましょう。
同じような受験生が多かった場合、宿泊施設の予約が取れない場合もあります。
<宿泊施設選びのチェックポイント>
・試験会場から近い、アクセスが良い
・勉強できる机がある
・近くにコンビニやATMがある
・モーニングコール、加湿器レンタルがある 等
②会場までのアクセス、会場の下見はしっかりと行う
当日余裕をもって行動できるように、駅までの行き方、電車の乗り換え、会場までにかかる時間等を事前にチェック。
また、降雪などで交通機関が麻痺した場合の不測の手段等、事前に把握しておくことが大切です。
<会場下見のチェックポイント>
・乗り換え方法や時間、料金
・会場に近い改札、出口
・会場までの行き方と時間
・会場付近のコンビニ、ATM、トイレ
・交通機関を使えない場合、タクシー等がつかまりやすいか 等
■受験前日の準備
①持ち物と天気、会場までの行き方を再確認
忘れ物が無いかを、下記一覧表でチェック。また、前日に必ず天気予報を調べ、悪天候による不測の事態が起きないか、また雨や低気温になる可能性を考えて、傘や上着等を準備しましょう。
<当日の持ち物チェックリスト>
絶対に必要なもの | あると便利なもの | ||
□ | 受験票 | □ | 試験会場までの地図 |
□ | 筆記用 | □ | 路線図・時刻表 |
□ | 時計 | □ | ひざかけ・カイロ |
□ | 弁当・飲料・軽食 | □ | 防寒具 |
□ | 現金・交通機関ICカード | □ | 傘・雨具 |
□ | 生徒手帳・生徒証 | □ | マスク・のどあめ |
□ | スマホ・ケータイ | □ | 入学試験要項 |
□ | ハンカチ・ティッシュ | □ | ヘアゴム |
□ | 薬 | □ | お菓子 |
□ | 問題集、参考書、ノート | □ | 靴下、上履き |
②勉強はあまりせずに、体を休めて早めに寝る
前日にあまり勉強をしても、劇的に成績が上がる訳ではないので、ほどほどに確認レベルに留めておき、早めにベットに入って睡眠をしっかり取るようにしましょう。
■受験当日は
①家や宿泊先を出る前は、時間に余裕をもった行動を
受験日当日の朝は、早めに起きて、すべてに時間的な余裕がもてるような行動を心がけましょう。
<受験日当日の行動について>
・早めに起きて、しっかりと朝食を摂る
・持ち物を最終チェック
・寒暖を調節できる服装を心がける
・弁当、飲み物、軽食等を持参
・最低でも30分前には着くように、余裕をもって早めに出発
②会場に着いたら、トイレ等の場所確認と案内板に注意
前日までに確認をしていなければ、トイレ等の場所を確認。ほか、受験生向けの案内等も掲示されていることが多いので細かくチェックしましょう。
<掲示されている可能性が高い項目>
・集合場所、受験会場教室
・試験科目の実施順や時間
・休憩時間
・試験本部の場所
・二次試験や面接についての
・合格発表、入学手続き など
③もしトラブルが発生したら
もしも試験当日に、具合が悪くなったり、寝坊や交通渋滞、降雪、忘れ物などで遅刻しそうになった場合は、慌てずに、すぐに試験会場か高校に連絡して指示を仰ぎましょう。
また、受験票等の忘れ物に気づいた場合も同様です。通っている中学校名、氏名、受験番号などを伝えて指示を受けましょう。
こういう時は気持ちが動転しており、判断を誤りがちなので、まずは気持ちを落ち着けて連絡。個人の判断で行動せずに、関係者の指示をあおぐことが大切です。
■試験本番時の注意事項は
①席に着いたら本番モードに
席に着いたらおしゃべりなどはやめて、集中力を高めながら、本番モードに切り替えましょう。
<席に着いたらやること>
・深呼吸やストレッチを行う
・参考書等を軽く眺める
・携帯電話の電源を切る など
②試験中は、とにかく冷静に焦らずに
試験が始まったら、焦らずに、下記のことを心がけると緊張も和らぎ、合格率が上がると言われています。
1)自分を信じて失敗を恐れない
⇒「今までしっかりやってきたのだから大丈夫」という自信をもって臨みます。不安になっても問題が変わるわけでは無いので、自分を信じて取り組みましょう。
2)問題用紙を見て、まずは時間配分
⇒決して最初から解こうとはせずに、まずは全体に目を通し、できそうなものとできなさそうなものをそれぞれチェック。
その上で、できるものから先に解き、後回しにする間がかかりそうなものの時間配分を行いましょう。その時に全く解けそうも無い問題があっても、焦らずに、その問題のために少し時間を多めに配分し、対応するようにします。
3)解けるものから解いていく
⇒第1問から回答する必要は全く無く、時間配分に応じて、できるところから書いていきます。
4)文章の読み落とし、読み間違えに注意
⇒問題の中にはひっかけ問題的なものもある可能性もあり、焦る気持ちはわかりますが、設問や選択肢は、しっかりと読むようにしましょう。
5)文字、数字は丁寧に書く
⇒回答する時の文字や数字は、間違わないように丁寧に書くように心がけます。採点者にも誤解を与えずに済み、自分が後から計算し直す時などの読み違いも防ぎます。
6)難しい問題も粘り強く考える
⇒後回しにした時間をかけて考える問題は、たとえ解けそうになくても、視点を変えてあらゆる可能性を考えてチャレンジしましょう。
7)回答欄にはとにかく何かを書く
⇒どうしてもわからない場合は、あてずっぽうでもいいので、とにかく何かを書いておくようにしましょう。全く書かないよりも、当たる可能性ができます。
8)時間があったら必ず見直しを
⇒たとえ早くできて時間が余ったとしても、ケアレスミスなどで見落として いる場合もありますので、必ずもう一度、全体を見直すようにしましょう。回答途中で、見直す問題をチェックしておくことなども大切です。
9)6割できたらほぼ合格!
⇒通常は、6~7割程度できれば合格する と言われています。それはつまり3~4割間違っていても大丈夫ということ。試験中にできない問題があると、焦ってしまいがちですが、あまり神経質にならずに、今までやってきたことをしっかりと出しきることを心がけましょう。
10)休み時間の答え合わせはほどほどに
⇒友人などが一緒の会場で試験を受けていれば、ついつい答え合わせをしたり、参考書やケータイで答えを確認しがちですが、試験はまだ終わっていません。次の科目になるべく集中するようにしましょう。
11)会場を出るまでが試験中
⇒試験が終わるとその安堵感で大騒ぎをする人もいますが、そこはまだ試験会場です。周囲に迷惑をかけたり、受験官に叱責されたりしないよう、心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか?
高校の受験勉強は、中学3年生になってから始めるのはかなりリスキーかつ、受験生本人の負担も大きくなり、志望する高校に入りたいのであれば、1年生のうちから入試のことを意識すべきことをおわかりいただけたでしょうか。
また、3年生になると、本格的な受験勉強が始まり、中間テスト、期末テスト、模試等のタイミングでどこまで志望校の合格レベルに近づけるか、また、夏休み、冬休みといった、集中して一気に遅れや苦手分野を克服できる時期をいかに効率的に過ごすか・・・等、かなり綿密な計画とスケジュールを立てる必要があります。
しかし、こうした計画やスケジュールも、自分でどんどん進める事ができる生徒もいれば、どうしても挫折してしまう生徒もいます。
また、比較的順調に進めていても、途中で病気やケガなどのアクシデントで、計画が中断してしまう場合もあります。
そんな時も焦らずに、受験生ができる範囲で挽回しつつ、また、目標変更が必要であれば、保護者や先生と相談しながら、こまめに見直し・修正することが大切です。
いずれにしろ、受験生本人のみががんばるのではなく、友人や親・親族、教師等の周りが、あたたかく応援しながら見守ってあげたいものですね。
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