中一から英単語をしっかりと暗記しておくメリットについて
「英単語の暗記は時間もかかるし面倒くさい。。。」そう思っている方も多いかと思います。確かに英単語の学習には時間もかかりますし、地道な作業です。
しかし、中学生のうちに英単語を暗記することは英語を習得する上でとても重要なことです。まずは英単語を暗記しておくメリットについてご紹介します。
■英会話の基礎は中学の英単語でほとんどカバーできる
日常英会話で使われている単語の多くは中学生のうちに学習する単語です。つまり、中学生のうちにしっかりと英単語をマスターしておけば将来英会話の習得がとても楽になると言えます。
(ちなみに、文部科学省の学習要項によると、中学生のうちに覚えるべきとされる単語数は約1200。これだけの単語を覚えれば、ある程度の会話もできるようになるのも納得ですね。)
■高校での英語の勉強が楽になる
中学生のうちに英単語をマスターし、英単語にたいする苦手意識を無くしておくと、高校生になった時の英語の学習がとてもスムーズにできます。
暗記のメカニズムについて
中学生の早い時期から英単語をマスターするメリットを理解していただいたので、次は暗記と記憶に関するメカニズムを理解しましょう。暗記のメカニズムをしっかりと理解すると、効率的な英単語の暗記に役立ちます。
■そもそも記憶ってどうやってできるの?
記憶のメカニズムは脳で行われ、主に「記銘(情報をインプットする)」「保持(情報を保つ)」「想起(必要に応じて情報を引き出す)」という3つのプロセスに分けることができます。
これは、英単語に限らず皆さんの日常生活全ての活動に関する情報がこの3つのステップによって記憶されるのです。この3つのステップをスムーズに行えるものは、「記憶している」、逆に、このステップがスムーズに行えないものは「記憶していない」状態と言えます。
つまり、皆さんが英単語を暗記するときにも「詰め込む(記銘する)」だけでなく、それをしっかり「保持」し、上手に「想起する(アウトプットする)」こともとても重要ということです。
■上手にアウトプットするために
それでは、脳に入った記憶を長期間保持し、スムーズにアウトプットするためにはどうすればいいのでしょうか。ヒントは皆さんの日常生活にあります。
みなさんは、学校への通学路をどうやって覚えましたか?意識して道順を覚えた人も中にはいるかもしれませんが、ほとんどの方は、毎日その道を歩いているうちに無意識に覚えたのではないでしょうか。
みなさんは知らないうちに「自宅から学校への道順」という情報を「歩く」というアウトプットを通じで「記憶」しているのです。学校への道順だけでなく、サッカーでのボールの蹴り方、包丁の使い方、足し算、引き算など、全ての記憶は皆さんが体を使ってアウトプットすることで記憶されていくのです。
英単語の暗記も同じことで、うまく体を使うことで効率的に覚えることができるようになるのです。
■10個の新しい単語を覚えても次の日には6個忘れちゃう?
基本的に人は新しく記憶したものはすぐに忘れてしまう生き物です。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの実験によると、人は新しいもの(単語)を覚えた1時間後には覚えたものの約55%を、1日後には約65%を思い出すことに苦労するというデータがでています。
つまり、皆さんが新しい単語を10個覚えたとしても、何も復習をしなかった場合翌日には6個は思い出すことが難しいということです。
■じゃあどうやって覚えたことを定着させるの?
新しい情報を記憶するために重要なのは「アウトプットを反復する」ことが重要です。エビングハウスの実験では、朗読回数が多ければ多いほど暗記できる単語の数も増えるというデータがあります。
つまり、この場合のアウトプットは「朗読する(声に出して単語を読む)」というアウトプットを反復して記憶を定着させているということですね。
英単語の学習の場合、学習した単語を翌日に10分復習することで記憶の定着率がアップすると言われています。皆さんも、英単語を暗記する際には「翌日10分の復習」をぜひ実践してみてください。
■関連したものは記憶が結びつきやすい
また、新しいことを覚える際には関連した記憶をつくると定着しやすいと言われています。例えば学校への道順であれば「赤い屋根の家を左に曲がり」、「その次の交差点で右に曲がる」など、覚えやすい目印(関連した情報)をセットで記憶することで記憶力を高めることができます。
英単語の暗記の際にも、1語ずつ日本語訳をそのまま覚えるのではなく、いくつかの情報をセットで覚えることで効率的に暗記ができるようになります。
例えば、「run(走る)」という単語を覚えるときには「walk(歩く)」「stop(立ち止まる)」など、その動きに関連する単語を一緒に覚えることで一連の記憶として英単語を覚えることができます。
具体的な覚え方を紹介
では、具体的な英単語の暗記方法についていくつかご紹介しましょう。
■英単語の覚え方極意その1、ひたすら単語帳を眺める
まずはひたすら単語帳をながめて頭の中で覚えるというやり方です。このやり方は場所を選ばずにできるのはメリットですが、一度に多くのインプットがある割にアウトプットが実際に体を動かさずに頭の中だけで完結してしまうので、あまり効果的とは言えません。
■英単語の覚え方極意その2、ノートに英単語を書き写す
次は、教科書や単語帳に出てきた単語をひたすらノートに書き写すというもの。この方法は手を使って単語を書くというアウトプットがあるので、効果的です。
やり方のコツとしては、一度に1単語を何回も書き写すのではなく、1日にたくさんの単語を5回ずつくらいの少量書き写し、翌日その単語を覚えているかチェックするという方法がオススメです。
先ほどもご紹介しましたが、人は新しく覚えたものは基本的に忘れてしまうので、1日に詰め込むのではなく、数日にわけて何回も反復することがポイントです。
■英単語の覚え方極意その3、学習アプリを活用する
英単語学習アプリなどを活用するのもひとつの方法です。英単語学習アプリによっては、学習レベルに合わせた単語が、発音とともにランダムで表示されるので、覚えた単語の復習にはかなり適しています。
ただし、これだけで覚えると自分でスペルを書けないということも考えられますので、自分の手を動かして単語を書く練習と一緒に行うとより効果があります。
■英単語の覚え方極意その4、教科書を音読する
教科書を音読することは自分の口を使ってアウトプットをすることになるので、オススメの学習方法です。具体的には、1日に5-10分程度、自分が学習しているチャプターの文章を声に出して読みます。この方法だと文章で英語を覚えるので、複数の単語をセットで関連づけて覚えることができます。
ただし、初めて英語を学習する方や英語が苦手な方は単語の読み方がわからなかったりする場合もあると思いますので、学校の先生や塾の先生などに読み方を確認してもらってから音読をすることをオススメします。
オススメの暗記方法の紹介
上で紹介した暗記方法を組み合わせて、効率のよい英単語の暗記ができるオススメの暗記方法をご紹介します。
■参考書を使って覚えよう
高校入試も視野にいれて、中学1年生のうちから中学生の英語を全て前もって覚えてしまいましょう。
■オススメの参考書3選
・高校入試 でる順ターゲット 中学英単語ターゲット1800
<ここがオススメ>入試の過去問を分析して選んだ、頻出度が高い英単語が1800語収録されている実践的な参考書です。また、音声も無料でダウンロードできるので、発音もチェックできるのも便利です。
・CD付 改訂版 キクタン【中学英単語】高校入試レベル (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)
<ここがオススメ>付属 CDを聴きながらリズムに乗って英単語を覚えることができます。1日16語5、-15分の学習時間で設定されて内容が構成されているので、毎日続けやすいこともオススメ。
・中学版 速読英単語 高校入試突破のための必須1300語
<ここがオススメ>単語をストーリーの中で覚えることができるので、一つ一つの単語を関連づけて暗記することができます。
■参考書の英単語をより効率的に覚えるには?
参考書の英単語をより効率的に覚えるには、参考書の英単語を単語カードに書き写して、オリジナルの単語カード帳を作ることもおすすめです。
覚えたい単語と読み方を表面に、その単語の意味と品詞(動詞、名詞、形容詞など)を裏面に書いて自分の単語カードを作ります。それを勉強の合間や寝る前などにパラパラめくって覚えるやり方です。
自分で単語を書き、読み方や品詞を調べるというインプットとアプトプットを行い、反復して練習がしやすいので英単語の暗記には効率的なやり方です。
単語カードを使った勉強のポイントは、作って終わりにするのではなく、単語カードを毎日眺めること。1つの単語カード帳は多くても40語以上はいれないようにして、1日5—10分必ず1周することです。毎日反復して眺めることで、記憶を定着させます。
■用意するもの
参考書
単語カード
辞書
筆記用具
■単語カード帳の作り方
[表面]
自分が覚えたい単語のスペルを書き、その下に読み方(初めはカタカナでOK。慣れてきたら発音記号を使った読み方を書きましょう)を書く。
[裏面]
裏面にはその単語の品詞(名詞、動詞、形容詞など)と、単語の意味を書く。一つの単語で複数の品詞をもっている単語(たとえば、”run”という単語は”走る“という意味の動詞と、”競走”という意味の名詞と2つの品詞を持っています)
も多いですが、その場合は品詞とそれぞれの意味を書きます。
1枚のカードに1単語を書き、1冊の単語カード帳に入れる単語の数は20語(多くて40語)程度が良いでしょう。
■単語カード帳の使い方
単語カードは1日1回表面を見て品詞と意味を口に出して言います。(大きな声でなくても、つぶやき程度で大丈夫です)1回見て3秒以内に意味が頭に浮かんでこなかった単語のカードには鉛筆などでチェックをつけて次の単語へ進みます。
表面が一周したら、裏面の品詞と意味を見て表面に書かれている単語を発音していきます。これも1回見て3秒以内に意味が頭に浮かんでこなかった単語のカードにはチェックをつけて、次の単語へ進みます。
1週間これを繰り返して、チェックが5個以上ついている単語は改めて同じ単語カードを作り、新しい単語カード帳に入れていきます。次の1週間は、チェックがついた単語と新しく学習する単語が入った新しい単語カード帳を同じように1日1回眺めます。
これを1ヶ月繰り返すと、全部で4冊の単語帳ができます。月に1回、最後にその月に作った単語カード帳を全て見直して復習します。
■単語カード音読暗記法がなぜいいのか
この学習法は、単語を辞書で調べて書き写すというインプットと、その単語を口に出して意味を言う、また発音するというアウトプット、さらに間違えた単語はまた書くというアウトプットがセットになっており、それを反復して学習するので、非常に効率が良いです。
また、作った単語カード帳がたまっていくことで、自分がそれだけの数の単語カード帳を作って勉強したという自信にもつながります。
さらに、単語カード帳は非常にコンパクトでどこにでも持ち運びができるので、どこでも時間を見つけて眺めることができることもメリットです。(最近では防水加工がされた単語カード帳も販売されているので、お風呂で勉強することも可能です)
最後に
① 少しずつ、毎日ながめる
気合いをいれて100語くらいを一気に覚えようと頑張って単語帳を作っても、それを毎日眺めてチェックするのは大変ですし、なによりも一気に10語の単語カードを作るのはとても大変です。
さらに、先ほど紹介したように、人は新しく覚えたものの約65%は翌日には忘れてしまいます。地道に毎週20-40語ずつ単語カードを作り、それを毎日10-15分勉強する方が効率的に暗記ができます。
② 発音も意識する
単語を暗記する上で、発音も一緒に覚えることもとても重要です。発音とスペルにはルールがあるので、正しい発音で英単語を暗記していくと、リスニングのテストで確実にスペルが書けるようになりますし、高校や大学に入って知らない単語に出会ったときにもスペルがかけ、スペルからなんとなくの意味を推測できるようになったりします。
中学1年生の段階で発音とスペルのルールを覚える必要はありませんが、早い段階から発音とスペルを関連づけて覚えておくことは将来の英語学習を考えてもとても重要なことです。
発音の勉強については、電子辞書の発音機能や英単語学習アプリを使ったり、学校や塾の先生に確認してもらいましょう。まずはカタカナでいいので、単語の読み方を一緒に覚える習慣を早いうちからつけてしまいましょう。
③ 単語を絵でイメージしよう
これは少し上級者向けの覚え方ですが、単語を絵でイメージして覚えることも重要です。
たとえば、”on”という単語は「〜の上に」とよく訳されますが、正確には「(なにかの物体に)接触している」状態を表す言葉なのです。つまり、天井にくっいているものも”on”になります。そのようなイメージを持って”on”という単語を記憶することで、より正確な英単語の理解ができるようになります。
また、みなさんが日本語を絵本などを見て覚えていったように、英語の絵本や図解辞典(picture dictionary)を使って直接英単語とイメージを結びつけて学習すると、より記憶に結びつきやすくなるのでオススメです。
最近では「絵で見て覚える基礎英語」など、イメージと関連づけて英単語を覚えることができるアプリなどもありますので、興味のある方は一度実践してみてください。
④ 勉強と休憩のメリハリをつけよう
暗記という作業は集中力をとても使います。なので、長時間ずっと集中して暗記をしようとしても結果として効率がすごく落ちてしまうのです。単語カード帳を使った勉強も、基本的には1日1回15分程度がオススメですが、これは人間が集中できる時間にも関係しています。
暗記に限らず、どんな勉強でも大体25分を1セットとして、25分勉強したら5分休憩をとるというサイクルで勉強と休憩のメリハリをつけていくと効率的に学習ができます。
じゅくみ〜る編集部のお役立ち情報課です。
学校情報や勉強法などの受験や学習に役に立つ情報を発信します。