勉強に理想な睡眠時間は?記憶を定着させるのに大切なのは適度な睡眠

勉強に理想な睡眠時間は?記憶を定着させるのに大切なのは適度な睡眠

せっかく勉強をするのなら、効率よく学習をしたいですよね。 そこで重要になってくるのが「適切な睡眠時間」です。 みなさんも一度は聞いたことがあると思いますが、睡眠は記憶と大きな関係があり、適切な睡眠をとっていないと学習効率が下がってしまうこともあるのです。 この記事では、睡眠と記憶の関係、子どもの平均睡眠時間やベストな睡眠時間についてまとめています。 適切な睡眠をとることで、学習効率を上げていきましょう!


切っても切り離せない!睡眠と記憶の関係

まずは睡眠と記憶の関係について見ていきましょう。

記憶に関する脳のメカニズム

脳は、眠っている間にメンテナンスを行います。具体的には、体だけが眠っており、脳が覚醒しているレム睡眠のときに、日中覚えた記憶を整理します。

一方、脳も体も眠っているノンレム睡眠のときは、脳が休息を取り、翌日の稼働に備えます。

つまり、記憶を定着しつつ、翌日もしっかり頭を働かせるためには、レム睡眠とノンレム睡眠、どちらもきちんと取る必要があるのです。

また、睡眠をとることで成長ホルモンも分泌されるようになります。

これについては、医師のコメントを見てみましょう。

睡眠には「成長ホルモンを分泌する」「脳の疲労を回復する」など、さまざまな役割があります。成長ホルモンは、身体や脳がぐんぐん成長する子どもには必要不可欠。 質のよい睡眠は子どもにとって、大人以上に大切な意味があるのです。

ある研究(※)で、規則正しく早寝・早起きをしている5歳児188名と、遅寝・遅起き・長時間の昼寝をしている5歳児34名に三角形を描かせたところ、睡眠のリズムが乱れている子どもの44%が、三角形を正しく認知できず上手に描けないという結果に。

適切な睡眠が脳機能の発達に重要だということがわかります。

出典:「小児の睡眠呼吸障害マニュアル」(2012) 宮崎総一郎・千葉伸太郎・中田誠一 編集(和洋女子大学・鈴木みゆき先生「5歳児の生活リズム例と三角形模写」より抜粋)

睡眠専門医 RESM新横浜 院長 白濱龍太郎先生「受験生の睡眠時間管理術。寝るor勉強する?を解決!

このように、睡眠は記憶と切っても切れない関係にあるのです。

睡眠不足が記憶にもたらす悪影響

では、睡眠不足に陥ると記憶に対しどのような悪影響をもたらすのでしょうか。

集中力の低下

睡眠不足になると脳がうまく機能しなくなり、一つの物事に集中することができなくなります。

そのため、国語の長文問題を読んだり、算数の文章題を解いていても、内容が頭に入らなくなってしまいます。

思考力の低下

脳が働かないということは「考える力」も低下するということです。

中学受験ではこの力が最も大切ですから、しっかり睡眠をとり、思考力を維持する必要があります。

論理的な思考ができなくなる

論理的な思考は、脳の中でも「大脳皮質」の「前頭連合野(ぜんとうれんごうや)」という部分で行われています。

睡眠が足りていないとこの部分も働かなくなり、論理的に物事を考えることができなくなります。

問いから答えを導き出すには論理的な思考が伴いますので、睡眠不足になると問題を解くことができなくなってしまいます。

やる気が出ない

昼間、私たちが体や頭を使うことで、知らず知らずの間に体内に老廃物が溜まっています。睡眠にはこの老廃物を除去する効果があります。

しかし睡眠不足に陥ると、老廃物が体内に溜まってしまい、体が重さやだるさを感じたりします。

このような身体症状により、勉強に対するやる気もなくなってしまうのです。

子どもたちの平均睡眠時間

最近の子どもたちは、一体どのくらい寝ているのでしょうか?
ここでは、現代の子どもの平均睡眠時間について解説します。

小学生の平均的な睡眠時間

小学生の平均的な睡眠時間はどのくらいなのでしょうか。
学研教育総合研究所によると、小学生の平均睡眠時間は以下の通りになります。

平均就寝時間は21時54分で、これは2015年の調査 の結果とほとんど変化はない。しかし、22時までに就寝する子どもの割合を過去の調査と比較したところ、2010年が88.8% 、2013年 が71.9%だったのに対し、2016年は67.9%と割合が減っていることから、夜型が年々進んでいる実態が浮かび上がった。また本年の調査では、23時30分以降に寝ると答えた子どもが8.8%、つまり約100人も存在していた。

小学生白書web版「小学生の生活・学習・グローバル意識に関する調査

では、22時以降も起きている子どもたちは一体何をしているのでしょうか。

先ほどの調査内容は、以下のように続きます。

午後10時以降に起きていると回答した385人のうち、もっとも多かったのがテレビ(33.8%)、これにインターネット(18.4%)、ゲーム(12.2%)、勉強(7.8%)、家族との会話(7.3%)と続く。

つまり、夜遅い時間に起きている子どもの8割以上はテレビやインターネット、ゲームといった娯楽に時間を費やしているのです。

先ほどご説明したように、睡眠不足は効率的な勉強の妨げになります。

息抜きももちろん大切ですが、睡眠時間を削るような娯楽は避けるべきでしょう。

中学生の平均的な睡眠時間

ベネッセ教育総合研究所によると、中学生の平均起床時間/就寝時間は以下のようになります。

中学1年生

就寝:22時54分

起床:6時34分

→平均睡眠時間:7時間40分

中学2年生

就寝:23時16分

起床:6時39分

→平均睡眠時間:7時間23分

中学3年生

就寝:23時51分

起床:6時50分

→平均睡眠時間:6時間59分

中学生になると夜遅くまで塾に通ったり、朝は部活の朝練があったりして、思うように睡眠時間を確保できなくなってきます。

その結果、なんと中学3年生の平均睡眠時間は7時間を切っています。

しかし、中学生はまだまだ成長途中であり、健康に過ごすためには十分な睡眠時間が必要なのです。

理想の睡眠時間

勉強をするのにベストな睡眠時間

では、勉強をするためにベストな睡眠時間とは何時間なのでしょうか。

子どもに必要な睡眠時間をまとめると、以下のようになります

・7歳:10時間半

・9歳:10時間

・11歳:9時間半

・13歳:9時間15分

・15歳:8時間45分

・17歳:8時間15分

成田奈緒子「早起きリズムで脳を育てる―脳・こころ・からだの正三角形 (食べもの文化)」(芽ばえ社・2012年)

先ほどの平均値と比べると、子どもは本来、かなり長い時間の睡眠を必要としていることがわかります。

もちろん必要な睡眠には個人差がありますが、みなさんが思っている以上に長い睡眠時間が必要である、ということは頭に入れておいてください。

スマホや勉強でついつい夜更かしをしがちですが、効率的に勉強をするためには、意識的に睡眠を取る必要があるのです。

朝型・夜型との関係

睡眠時間とは別に、朝型・夜型という言葉を聞いたことはないでしょうか。

これは生活習慣の違いのことで、具体的には以下のように説明されます。

・朝型:朝早く起床し、午前中から活動をはじめ、夜早く寝る生活習慣のこと

・夜型:お昼ごろ起床し、午後から活動をはじめ、深夜に就寝する生活習慣のこと

同じ睡眠時間を取っていても、朝型・夜型のタイプによって、活発に活動できる時間が異なります。

もしも「十分な睡眠をとっても眠い」「早起きすると、朝は体調がよくない」という場合には、朝型・夜型という生活習慣の違いも踏まえた上で、勉強時間を設定してみましょう。

早寝早起きをする方法

では、早寝早起きをし、必要な睡眠を確保するためにはどのようにすればよいのでしょうか。

①夜のスマホタイムをやめる

スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、私たちの脳を覚醒させる働きがあります。

そのため、寝る前にスマホやパソコンをいじると、脳が目覚めてしまい、スムーズに眠ることができなくなってしまうのです。寝る時間の最低1時間前にはスマホやパソコンを見るのをやめましょう。

逆に、朝起きた時にスマホをいじるのは、すっきり目を覚ますのに有効です。

どうしてもスマホを触りたいという方は朝起きてからスマホを触るようにしましょう。

②規則正しい生活を送る

睡眠は、ただ長い時間取れば良いというものではありません。毎日規則正しく眠ることで、きちんと効果を発揮するのです。

中には「普段は忙しくて睡眠がとれないから、土日で寝だめをする」という方もいるかもしれません。

しかし、実は寝だめはあまり意味がないということが最近わかってきました。

忙しくても、同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにしましょう。

③お風呂はぬるめにする

多くの方が、夜お風呂に入ってから就寝するのではないでしょうか。

実は、このお風呂の入り方にも、早寝・早起きのポイントが隠されているのです。

早寝をしたい場合、お風呂の温度は低めに設定しましょう。

40度以上の熱いお湯に入ると、体が覚醒し、なかなか寝付けなくなってしまうからです。

逆に朝お風呂に入るという方は、熱いお湯で目を覚ましましょう。

まとめ

勉強に必要な睡眠時間をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

最後に簡単に振り返ってみましょう。

睡眠と記憶の関係


まずは睡眠と記憶の関係について見ていきましょう。

・記憶に関する脳のメカニズム

脳は、眠っている間に記憶を整理したり、翌日に備えたメンテナンスを行います。

また、眠っている間に成長ホルモンが出るため、記憶には睡眠が不可欠なのです。

・睡眠不足が記憶にもたらす悪影響

睡眠不足に陥ると、記憶に対し以下のような悪影響をもたらします。

①集中力の低下
睡眠不足になると脳がうまく機能しなくなり、一つの物事に集中することができなくなります。

②思考力の低下
脳が働かないということは「考える力」も低下するということです。
中学受験ではこの力が最も大切ですから、しっかり睡眠とり、思考力を維持する必要があります。

③論理的な思考ができなくなる
論理的な思考は、脳の中でも「大脳皮質」の「前頭連合野(ぜんとうれんごうや)」という部分で行われています。
睡眠が足りていないとこの部分も働かなくなり、論理的に物事を考えることができなくなります。

④やる気が出ない
睡眠不足に陥ると、老廃物が体内に溜まってしまい、体が重さやだるさを感じたりします。このような身体症状により、勉強に対するやる気もなくなってしまうのです。

子どもたちの平均睡眠時間



*小学生の平均的な睡眠時間

・平均就寝時間は21時54分

・23時30分以降に寝ると答えた子どもは8.8%

・午後10時以降に起きていると子どもはテレビやこれにインターネット、ゲームをして過ごしている

*中学生の平均的な睡眠時間

・中学1年生

就寝:22時54分

起床:6時34分

→平均睡眠時間:7時間40分

・中学2年生

就寝:23時16分

起床:6時39分

→平均睡眠時間:7時間23分

・中学3年生

就寝:23時51分

起床:6時50分

→平均睡眠時間:6時間59分

理想の睡眠時間

*子どもに必要な睡眠時間

7歳:10時間半

9歳:10時間

11歳:9時間半

13歳:9時間15分

15歳:8時間45分

17歳:8時間15分


*朝型・夜型との関係

生活習慣の違いにより、活発に活動できる時間が異なります。

生活習慣の違いも踏まえた上で、勉強時間を設定してみましょう。

早寝早起きをする方法

①夜のスマホタイムをやめる
スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、私たちの脳を覚醒させる働きがあります。寝る前1時間はスマホを触らないようにしましょう。

②規則正しい生活を送る
睡眠は毎日規則正しく眠ることで、きちんと効果を発揮します。

③お風呂はぬるめにする
早寝をしたい場合、お風呂の温度は低めに設定しましょう。
40度以上の熱いお湯に入ると、体が覚醒し、なかなか寝付けなくなってしまうからです。
逆に朝お風呂に入るという方は、熱いお湯で目を覚ましましょう。

効率的に勉強をする上で、しっかりとした睡眠は欠かせません。

「いつも一夜漬けでテストを受ける」という人もいるでしょうが、入試という長期的な勉強に関して、一夜漬けは全く意味がありません。

現に、東大生の多くも一夜漬けはせず、テスト前はしっかり睡眠をとるといいます。

毎日きちんと睡眠をとり、集中して勉強に取り組めるようにしましょう。

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